三連休である。
前半の二日間が終わったが、外出したのは居合の稽古に行った時間のみである。ほぼ引きこもり状態であるので、これではいかんと言う事で、最終日には外出することにした。と言って、行きたい当てがある訳でも、何か用事がある訳でもない。基本的に引きこもり体質である。
結局はいつもの如く、写真を撮るという口実を見つけて最近行っていない明石海峡大橋の方面に行く事にした。
行きは山陽電車の人丸前駅から西舞子まで電車で行き、昼飯時であったので、ちょっと明石方面に引き返してスターバックス西舞子店という海と明石海峡大橋を見下ろすおしゃれなカフェでペッパーハム&オニオン・フォカッチャなどと言うハイカラな食べ物を珈琲で喉に流し込む。店内は基本的に勉強をしている学生さんかオシャレなカップル達に占拠され、私と私の斜め向かいに座っているスマホで何やら動画を鑑賞しているちょっと小太りなおっさんの2人のみが場違いに店内の空気を澱ませている。そんなオシャレな空間に多少居心地の悪さを感じながらも、ペッパーハム&オニオン・フォカッチャなどと言うハイカラな食べ物を苦い珈琲で喉に流し込んで店を出た後は、明石海峡大橋方面を目指して、9月と言うのに真夏の様な正午の太陽が照りつける何も面白みのない国道2号線の歩道をジリジリと肌を焼かれながら歩いていく。
我が子の小さい頃はなんやかんやと明石海峡大橋や舞子公園あたりまで遊びに連れて来たものだが、もう十数年は来ていないだろうか。十数年振りと言ってもこんな巨大な施設にそうそう変化があるはずもなく、十数年前とほぼ変わら景色を今日も見ている。ここには家族連れと釣り人と休憩中の自転車乗りと日陰になった橋の袂で寝転がるくたびれたオッサンとオバサンしかいないので、私も心安らかに景色に溶け込むことが出来る。他の人から見れば私こそが橋の袂で寝転がっているくたびれたオッサンである。
少し休憩した後、ポツリポツリとありきたりな風景に向けてシャッターを切りながら大橋の陰から太陽の照り付ける遊歩道を移情閣の方へ歩いていく。暑い、暑いけど海風が吹けば心地良い気がしないでも無い。多分、気のせいだ。
せっかくここまで来たのだから海岸沿いを歩いてマリンピア神戸迄行ってみようという馬鹿な考えが暑さでのぼせた頭をよぎる。
遊泳期間の終わった海岸で嬌声を上げながら水遊びをする男子高校生の一群を横目で見ながらマリンピアに向けて歩を進める。歩き始めて1分もしないうちに後悔と1分前の自分に対する恨言が心に湧き上がる。誰だ、こんな炎天下に意味も無い散歩に行こうと言い出したのは。
水分補給の為、途中の自動販売機でウメソルティ天然水という訳の分からぬ飲み物を購入し、体にしみこむ水分と塩分とウメ分を堪能しながらさらに歩く。
目的地に着いた。緊急事態宣言中とは思えぬ程の人出である。が、普段のこの場所の様子など知るよしも無い為、この人出が緊急事態宣言中として多いのか少ないのか分からない。もしかしたら普段は通勤時間の満員電車並の人出がある街やも知れぬ。そうであればこの人混みはとても少ないと言えるかもしれない。
歩き疲れたのでまたもやスタバに入り本日2杯目の珈琲を飲む。コッチのスタバは落ち着く。何でかはここでは詳しくは書かないけど。子供は無邪気に走り回るぐらい元気があった方が良いのである。が、ヘッドホン無しで Youtube を見るのは少し控えた方が宜しいのではなかろうか。
店のクーラーで体を冷やし、充分に休憩を取ったので帰る事とする。せっかくアウトレットパークに来たのだが私が必要とする店はここには無いので、どこにも寄らずに垂水駅に向かう。ここで私に必要なのはスタバのクーラーとトイレだけだった。
トボトボと歩いて数分で垂水駅に着いた。数分なのに道に迷った。悪い癖で、コッチの道は違うと判っているのに面白そうだからという理由だけで道を逸れ、結局は行き止まりの袋小路に迷い込む。誰だ、コッチの方が面白そうと言った奴は。
垂水駅から無事普通列車に乗り込み何とか家まで辿り着いた。予定より大幅に歩いて疲れ切った足を引きずりながらも無事家まで辿り着いた。
ふと見るとズボンのチャックが開いている。最後に行ったトイレから全開で電車に乗って帰ってきたようだ。
全然無事では無かった。
コメント
文才があるのですね、楽しく読ませていただきました(笑)
榊原さん
つたない文章ですが、楽しんで頂けたなら何よりです。