受け流し

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この何年間か地区講習会のたびに「指導場の留意点」という文書が配布されているのですが、毎回微妙に内容(記述)が異なっているので、自分個人的には確定版の文書が出てから取り入れたんで良いかな、と思っていたのですが、どうも世間的には皆さん既に取り入れて稽古している様なので、遅ればせながら改めて真面目に読んでみました。

色々と私程度の知識では理解が追い付かない部分はあるのですが、三本目「受け流し」が一番判らない。

2022/06/28 岡山文書

●三本目「受け流し」
1.左足を右膝の内側に足先をやや外側(約45度)に向けて踏み込んで立ち上がる。この時、上体は約45度右を向いている。 (左足先は右膝頭より前に出さない。 )
2.切っ先が鯉口から離れると同時に右足を「イ」の字のような形に踏み込む。この時、上体は正面を向いている。
3.受け流した(敵の刀と接触した)刀の切っ先は、勢いで右後ろ上方に回る。
4. 【「抜き始めjから「切り下ろしjまでは『刀を止めることなく」】一連の動き(流れ)になるようにする。
※初級者は「受け流しの形」 (「教本」動作,、注(‘惨照)を正確に行ってから、 3.の動作とな るようにしてもよい。

2023/07/01 高知文書

●三本目「受け流し」
1.左足を右膝の内側に足先をやや外側(約45度)に向けて踏み込んで、刀を抜き上げながら立ち上がる。このとき、正面の敵に対して上体は約45度右を向いている。 (左足先は右膝頭より前に出 さない。 )
2.切っ先が鯉口から離れると同時に右足を「イ」の字のような形に踏み込む。このとき、上体は正面 を向き、右こぶしは右肩前上方となる。
3.受け流した(敵の刀と接触した)刀の切っ先は、勢いで右後ろ上方に回る。 ※【抜き始めから切り下ろしまでは刀を止めることなく】一連の動き(流れ)になるようにする。
4. 「切り下ろす」とき、上体を正面に対してやや左(約10~15度程度)に開き、左足を右足の後方 に、引きながら、両足先は正面に対してやや左(10~15度程度)を向き、正面の敵を1時から7 時の方向に「切り下ろす」。

2024/06/23 福岡文書

●三本目「受け流し」
1.左足を右膝の内側に足先をやや外側(約30度)に向けて踏み込んで、刀を抜き上げながら立ち上がる。このとき、正面の敵に対して上体は約30度右を向いている(左足先は右膝頭より前に出さない) 。
2.切っ先が鯉口から離れると同時に右足を「イ」の字のような形に踏み込み、敵の打ち下ろしてくる刀を左鎬で摺り上げるように受け流す。右こぶしは右肩前上方となり、切っ先は左体側でほぼ肩の高さ位となる。
3.受け流した(敵の刀と接触した)刀の切っ先は、勢いで右肩斜め後ろ上方に回る。※「抜き始めから切り下ろしまでは刀を止めることなく」一連の動き(流れ)になるようにする。
4.正面にいる敵を「袈裟に切り下ろす」とき、上体を正面に対してやや左(約30度程度)に開き、左足を右足の後方に引きながら、両足先は正面に対してやや左(10~15度程度)を向き、正面の 敵を1時から7時の方向に「切り下ろす」 。顔は正面を向く。

立ち上がる時の動作で、岡山・高知文書では「左足を45度開き、上体も45度右をむく」となっていおり、左足の向きと上体の向きが揃っており問題ない様に思えます。

福岡文書では「左足を30度開き、上体は正面の敵に対し30度右」と変更されており、数字だけをみると30度で揃っているように見えますが、左足の向きは自分が座している右側を正面として見た場合の30度であり正面の敵に対しては60度右になると思われます。よって上体は30度右、足先は60度右という状況となり、何故45度から30度に角度が変わったのかも疑問ですが、足先の向きと上体の向きが異なるのは何故なのだろうという疑問も生まれます。

これは、切り下ろした後の体勢にも言え、高知文書では「上体を正面に対して10〜15度左、両足先も10〜15度左」で揃っているのに、福岡文書だと「上体は30度左、両足先は10〜15度左、顔は正面」とこちらも足先の向きと上体の向きが異なっています。(「顔は正面」の正面も演武正面なのか敵に正対しての正面なのか不明)

個人的には全剣連居合では、抜き打ちや片手突き等片手で刀を扱う場面以外は、後側の足も含めて足先と上体は同方向を向くと思っていました。

制定委員の先生方が色々と議論されてこの文書になったのだろうからそこには武術的な意味があると思うのですが、その理由を明記して頂きたかった、と思いながら稽古する今日この頃で御座います。

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