モールトン

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久しぶりにモールトンを引っ張り出してきた。

モールトンとは、細いパイプで造られたフレームと小さなタイヤの組み合わせが可愛らしい英国製の自転車である。

見た目の可愛らしさに反してお値段の方は可愛らしさの欠片も無い自転車である。

ネットで検索するとお分かり頂けると思うが、手作りの最高級モデルは普通乗用車が買える様な値段が付いている。

勿論、私が持っているのはそんなハンドメイドの高級モデルでは無く、大量生産のライセンス物ではあるのだが、それでもお安くはなかった。結婚する前、後先考えず湯水のように趣味に金をぶち込んでいた頃に買った代物だ。

とても気に入っており、オーナーズクラブに入ったり、新幹線に乗ってあちこちの走行会に出掛けたりもした。設計者であるモールトン博士が来日した折はミーハー宜しく会いに行ってサインを貰ったりもした。

2000年 AMOMにてPylonの発表をするモールトン博士

しかし、子供が産まれてからは取り回しのし易いマウンテン・バイクに乗る事が多くなり、ほとんどモールトンには乗らなくなっていた。

随分と長い間、輪行袋に入れられたまま部屋の片隅で埃を被っていた。

長い間ほっぽり過ぎていて輪行袋に洒落にならないくらい埃が溜まっていたので、久しぶりに掃除をすることにした。

掃除機で吸ったぐらいではこびりついた埃が取れなかったので、中身の自転車を取り出し、風呂場で輪行袋を丸洗いした。

袋が乾くまでの間、何気なしに車体を組み立てて様子を見てみた。タイヤの空気が完全に抜けているくらいで、長年乗っていなかった割には走行に支障はなさそうな感じだった。

押入れから空気入れを探してきて、タイヤに空気を入れてみた。タイヤもチューブも劣化は無いみたいで空気漏れは大丈夫そうだ。

せっかく組み立てたのだから、一寸家の周りでも回ってみようか。

久しぶりのピンディング・ペダルに戸惑いながら、久しぶりのドロップ・ハンドルにフラフラしながら、なんとか一歩目を踏み出した。

ピンディング・ペダルもドロップ・ハンドルも直ぐに昔の感覚が蘇ってきた。

通勤で毎日乗っているママチャリとは違う、ペダルを踏んだら踏んだだけ前に進むロードバイクのスピード感。定速走行からケイデンスを上げた時の小径車特有の抵抗の無い軽い加速感。

ああ、自転車ってこんなに楽しかったんだな、忘れていたよ。

家の周りを一周するだけのつもりで出掛けたのに帰ってきたら1時間半も経っていた。

楽しかったけど、このまま本格的に復活させようと思うと、安全の為にワイヤー類は全部交換したいし、各所のグリス・アップはやらないと駄目だろうし、ヘルメットやグローブなんかの装備も揃えないといけないし、と結構手間がかかるのでせっかく日の目を見たのに申し訳ないが又暫く眠りについてもらう事にした。

仕事をリタイアして時間が取れるようになったら、ゆっくりレストアしてのんびり乗る事にしたい。

今は休日は居合で手一杯なのだ。

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